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SEMINAR TEXT
CONSTRUCTION × AI

建設・建築業のための
AI活用セミナー 講義資料 — AIエージェント時代の「現場が回る」つくり方 —

対象:経営者・現場代理人・IT推進担当者
🎓 AI初級者向け 🏗️ 建設・建築業特化 🛠️ 実際に動くデモアプリ付き ✍️ ミニアプリ制作ワーク付き
版数:v1.0 │ 作成日:2026年8月24日
発行:株式会社leale(TSUNAGARU AI LABO)
00

本日のゴールと進め方

最初に、今日どこへ向かうのかを共有します。技術の習得が目的ではありません。「明日から自社で動き出せる状態」になることがゴールです。

GOAL 01
🧭

AIとの向き合い方が決まる

何を任せ、何は任せないのか。その判断基準を自社の言葉で持ち帰っていただきます。

GOAL 02
🗺️

自社の現在地と次の一歩が分かる

いきなり最先端を目指さず、自社のレベルから見て「次にやるべき1つ」を特定します。

GOAL 03
🛠️

実際に動くものを1つ作って帰る

最後のワークで、コードを書かずに自分の現場で使えるツールを完成させます。

本日の進め方について。 専門用語は最小限にします。分からない言葉が出たら、その場で止めてください。 また、スマートフォンをお手元にご用意ください。実際に動くデモアプリを触っていただく場面があります。

0-1. 本日のデモ体験ポイント

講義の途中で5回、実際に動くアプリをご覧いただきます。お手元のスマートフォンでも同時に操作できます。

タイミング見ていただくものアプリ目安
第1章話すだけで日報が完成する(つかみ)AI日報3分
第6章元請けの紙の様式を写真1枚でアプリにするAI日報7分
第8章AIが読み取り、アプリが計算する(役割分担)AI見積書8分
第9章話すだけで概算のたたき台+写真から寸法推定(プレビュー)概算積算アシスト5分
第10章データベースの正体はスプレッドシートAI見積書4分
第11章会議議事録からガントチャート自動生成(AIエージェントの実例)工程表ジェネレーター6分
第11章2つのアプリを通しで(完成形)両方15分
デモアプリ集:https://construction-ai-seminar.pages.dev/
セミナー用のデモ環境です。実データ(実在のお客様名・金額)は入力しないでください。
Q01挙手

AIを週に1回以上使っている方は、どのくらいいらっしゃいますか?

PART I

なぜ今、建設業でAIなのか

まず現在地を共有します。人が3割減り、残業はできず、国は省人化を求める。この状況で何が起きているのかを、業界の内と外の両面から確認します。

01

現場主義の業界、だからこそAI活用

「うちは現場が命だからITは関係ない」— これは半分正しく、半分逆です。現場が命だからこそ、現場に立つ時間を奪う作業をAIに渡すべきなのです。

1-1. 建設業が置かれている構造

685→479万人
建設業就業者数
1997年ピーク → 2022年
約30%減
67兆円
建設投資額(2022年)
需要は回復している
需給ギャップ
45/360h
時間外労働の上限
(月/年・2024年4月適用)
2026年は監督指導が厳格化
3
i-Construction 2.0 の
省人化目標(2040年まで)
=生産性1.5倍

人は3割減り、仕事量は戻り、残業はできなくなり、国は省人化3割を求めている。 「忙しい」から「回らない」へと段階が変わったのが2026年の現在地です。 採用で解決しようにも、母集団そのものが縮小しています。

1-2. 現場監督の1週間はどこへ消えているか

Q02予想してみてください

現場監督の1週間のうち、書類・日報の作成に何時間使っていると思いますか?

業務従来(週)AI導入後(週)
書類・日報作成16 時間4 時間▲12h
写真整理・写真帳12 時間2 時間▲10h
現場移動・準備8 時間5 時間▲3h
品質・安全確認6 時間12 時間+6h
職人・協力会社との対話5 時間11 時間+6h

出典:2026年 中小建設業のためのAI活用・現場革新ガイド(本セミナー付属資料)

ここが「現場主義だからこそAI」の意味です。 AIが奪うのは書類作成と写真整理であって、現場ではありません。浮いた時間は 品質確認と職人との対話という、まさに現場主義の中核へ戻ります。 AIは現場を軽んじる道具ではなく、現場に戻るための道具です。
▶ LIVE DEMO 01 話すだけで、日報が30秒で完成する 3分
操作の流れ
  1. 「📝 日報を書く」で🎤ボタンを押す
  2. 現場のことを思いつくまま話す(きれいな文章でなくてよい)
  3. 「✨AIで様式の項目に整形する」を押す
ここを見てください
  • 「えー」「まあ」が消え、報告書の文体になること
  • 話していない項目は空欄のまま=勝手に作り話をしないこと
  • この間、監督は現場を歩いたままであること

1-3. 建設業特有の「AIが効く」3つの事情

👷

暗黙知が資産の業界

ベテランの勘・過去の失敗事例が最大の資産でありながら、退職とともに消えていく。AIは「聞けば答える形」でこれを保存できます。

📷

写真・図面・音声が主戦場

建設の情報は文字より画像と会話。近年のAIは写真も音声も読めるため、建設業はAIの進化の恩恵を最も受けやすい業種のひとつです。

📋

元請けごとに様式がバラバラ

日報・出面・安全書類が元請けごとに違う。この「転記地獄」はAIが最も得意とする領域です。

02

業界によらないAI活用のインパクト

ここまで建設業固有の事情を見てきました。ただしこの変化は、建設業だけに起きているわけではありません。業種を問わず進んでいる動きを数字で押さえます。ここを見誤ると、AI投資の判断そのものがずれます。

2-1. 数字で見る現在地

105
AI活用で節約できる
1週間あたりの時間
(Gemini 統計 2026)
78%
少なくとも1つの業務で
AIを使っている組織の割合
(Gartner)
40%
2026年末までにAIエージェントを
組み込む企業アプリの割合
(Gartner 予測)
46%
AIエージェント市場の
年平均成長率
(2030年まで CAGR)

重要なのは「AIを導入したか」ではなく、「競合が週105分ずつ先に進んでいる」という事実です。 月に換算すれば約7時間、年間で約84時間。社員10名なら年間840時間 — パート1人分の労働時間に相当します。

2-2. どの業種でも共通して効く3領域

AREA 01
📄

事務作業の圧縮

文章作成・要約・転記・フォーマット変換。人間がやっても付加価値が生まれない作業。

  • 日報・報告書・議事録
  • 見積書・請求書の文面
  • メール返信の下書き
最も早く効果が出る
AREA 02
📚

ナレッジの継承

ベテランの頭の中にしかない知識を、聞けば答えが返る状態にする。

  • 過去の失敗事例・是正記録
  • 特殊な納まりの判断
  • 社内規程・仕様書の検索
人材不足に直接効く
AREA 03
🧭

意思決定の速度と質

数字を渡して解釈させる、複数案を比較させる、見落としを指摘させる。

  • 月次数値の読解
  • 受注可否の判断材料
  • 「私が見落としている視点は?」
経営者本人が使う領域
AIのインパクトは「人を減らすこと」ではない。
同じ人数で、これまで手が回らなかった仕事に手が届くこと。 人手不足の業界ほど、AIの効果は大きく出ます。
PART II

AIの本質を正しくつかむ

ここで一度、熱を冷まします。AIに何ができて、何ができないのか。この認識を持たないまま導入した会社は、ほぼ例外なく「思ったほどではなかった」で終わります。

03

AIは「知識」でしかない

本日いちばんお伝えしたいこと。AIをどれだけ賢く使っても、それだけでは「正解」にはなりません。あなたの想いが乗って初めて、現場で効く「知恵」になります。

3-1. AIが持っているのは「世界の平均値」

生成AIは、インターネット上や書籍にある膨大な文章を学習しています。だから、建築基準法の概要も、 RC造の一般的な施工手順も、原価管理の教科書的な考え方も答えられます。知識の量では、どんな人間も敵いません。

しかしAIが答えるのは、あくまで「世界中の平均的な正解」です。AIは次のことを一切知りません。

🏘️

あなたの地域の実情

この地域の職人単価、生コンの手配リードタイム、冬季の施工制約、行政の窓口の癖。

🤝

あなたの取引先の顔

この元請けが何にうるさいか。この施主が何を大事にしているか。あの職人に何時に電話すべきか。

💭

あなたの会社の判断基準

どこまで値引きするか。どの仕事は断るか。品質と工期でどちらを取るか。=経営者の想い

3-2. 知識 × 想い = 知恵

知 識
AIが持っているもの
一般解・情報・手順
×
想 い
あなたが持っているもの
現場の文脈・判断基準・志
知 恵
現場で本当に効く答え
自社にしか出せない解
知識はいくらでも借りられる。想いは借りられない。だからAI時代こそ、経営者の想いの言語化が価値になります。
掛け算であることが肝心です。 想いがゼロなら、どれだけ知識を積んでも答えはゼロ。逆に、想いさえあれば、知識はAIから無限に借りてこられます。 「AIに仕事を奪われる」のではなく、「想いのない仕事」から順に置き換わっていくと捉えてください。
Q03書き出してみてください(30秒)

御社が「これだけは譲らない」と決めていることは何ですか? 1つで構いません。

3-3. 実務上、これは何を意味するか

AIに丸投げして出てきた文章が「なんとなく薄い」と感じたことはありませんか。それは想いが入力されていないからです。 上手な人は、AIに指示するときに自社の判断基準を一緒に渡しています。

 指示の内容出てくるもの
想いなし「リフォームの見積書を作って」教科書的な一般見積。使えない。
想いあり「当社は工期より品質を優先する工務店です。施主は60代ご夫婦・予算に敏感安さで勝負しない方針なので、なぜこの仕様が必要かを丁寧に書いた見積の説明文を作って」自社の営業トークとして通用する文章。

※ 本日のワーク(第14章)でも、この「想いを渡す」を実際に体験していただきます。

PART III

AI活用の全体地図

AI活用と一口に言っても段階があります。自社の現在地を確認したうえで、エージェント/マルチモーダル/各種サービスがその地図のどこに位置するのかを整理します。

04

自社のAI活用レベル診断

これから技術の話に入りますが、その前に自社の現在地を確認します。ここが分かっていないと、この後の話が「よその会社の話」に聞こえてしまいます。

4-1. AI活用の5段階

下の表で、自社が今どこにいるかに印を付けてください。多くの中小建設業は Lv.0 〜 Lv.1 にいます。それが普通です。

レベル状態具体的な様子次の一歩
Lv.0使っていない紙・FAX・電話・ベテランの頭の中。データは事務所のPCと紙に分散。まず経営者が触ってみる
Lv.1個人が試している一部の社員が個人アカウントでChatGPT等を使っている。会社は把握していない。会社として使う環境を整える
Lv.2チームで型がある「こう頼めばこう返る」の型が共有され、入れてよい情報のルールもある。データを1か所に集める(DX)
Lv.3土台の上で回っている業務データがGoogle Workspace等に集まり、AIがそれを読める状態。アプリ化・自動化に進める
Lv.4仕組みに組み込まれている内製アプリやAIエージェントが日常業務の中で動いている。対象業務を広げる
Q04挙手

御社は今、Lv.0 〜 Lv.4 のどこだと思われますか?

4-2. 本日の講義は、どのレベルの話か

この後の各章が、地図のどこを扱っているかを先にお示しします。自社のレベルの前後2つに集中して聞いていただければ十分です。

対象レベルそこで得られるもの
Lv.0 → Lv.1第5章 AIエージェント/第6章 使い分け/第7章 サービス比較何を選び、まず何に使えばよいかが分かる
Lv.1 → Lv.2第12章 ひとりかチームか/第13章 習慣化個人利用を組織の力に変える順番が分かる
Lv.2 → Lv.3第10章 AIとDX(GWS)AIが実力を出すためのデータ基盤が分かる
Lv.3 → Lv.4第8章 直接かアプリか/第9章 Webアプリ/第11章 内製化業務に組み込む形と、その作り方が分かる
飛び級はできません。 Lv.0 の会社がいきなり Lv.4(エージェント導入)を目指すと、ほぼ確実に失敗します。 紙のままAIツールだけ契約しても、AIに読ませるデータが社内に無いからです(詳しくは第10章)。 順番に上がることが、結果的にいちばん速い。
05

AIエージェント時代の概要

2026年のキーワードは「エージェント」です。言葉だけが先行していますが、中身はシンプル。「答えるAI」から「動くAI」への変化です。

5-1. 生成AI と AIエージェント の違い

これまでの生成AI(〜2024頃)

聞かれたことに答える。1往復で完結。

  • 「日報の文章を整えて」→ 整えた文章が返る
  • 人間が次の行動(コピー・保存・送信)をする
  • 優秀な新人に質問するイメージ

AIエージェント(2025〜)

目的を渡すと、自分で段取りして実行する

  • 「今週の日報をまとめて元請け様式で提出準備して」→ 収集・整形・保存・下書き作成まで完了
  • 人間は最後に確認して承認するだけ
  • 優秀な新人に仕事を任せるイメージ

5-2. AIエージェントの構成要素

🧠 LLM(頭脳)
理解・推論・計画を立てる
💾 メモリ(記憶)
過去のやりとり・自社の情報を覚えている
🔧 ツール接続
スプレッドシート・メール・Drive を実際に操作する
🔁 ワークフロー
複数工程を順番に、失敗したらやり直す
この4つが揃うと「任せられる」状態になる
目的を渡す → 計画 → 実行 → 報告
人間は「指示」と「承認」だけを担当する

定義:AIエージェントとは、利用者の目的と状況を理解し、LLM・記憶・外部ツール接続・ワークフローを用いて、 計画/推論/情報検索/ツール実行/業務処理/結果報告までを行うソフトウェアシステム。

Q05隣の方と30秒

もし優秀な新人が1人入ってきたら、真っ先に何の仕事を任せますか?

5-3. 建設業での具体例

人間:目的を渡すHUMAN

「先週分の日報を集計して、○○建設の様式で月次報告を作って。未提出の職長にはリマインドして」

AI:スプレッドシートから該当データを収集AGENT

日付範囲・現場名で絞り込み、欠損している日を検出。

AI:元請け様式に転記・文章整形AGENT

話し言葉の記録を報告書体に直し、指定フォーマットの列に振り分け。

AI:未提出者へのリマインド文を下書きAGENT

チャット/メールの下書きまで作成(送信は人間の承認後)。

人間:内容を確認して承認HUMAN

ここだけが人間の仕事。所要時間は数分。

注意:エージェントは「勝手にやってしまう」リスクを伴います。 送信・支払い・削除など後戻りできない操作は、必ず人間の承認を挟む設計にしてください(Human-in-the-Loop)。 本日ご覧いただくデモアプリも、保存・送信は必ず人が押す設計になっています。
06

エージェント時代に、一般的なAIはもう要らない?

「これからはエージェントだから、ChatGPTに質問するような使い方は古い」— よくある誤解です。結論から言えば、土台としてますます重要になります。

6-1. 結論:置き換えではなく、積み上げ

④ 内製アプリ(決まった処理を確実に・大量に)
③ AIエージェント(複数工程を任せる)
② マルチモーダルAI(写真・音声・図面を読ませる)
① 対話型AI(聞く・考えさせる・書かせる)= すべての土台

エージェントの「頭脳」は、対話型AIと同じ大規模言語モデルです。つまり指示が下手な人は、エージェントを使っても下手な結果しか得られません。 ①の力(伝え方=プロンプト)が、そのまま③④の成果の上限を決めます。

6-2. 建設業ではマルチモーダルが主戦場

マルチモーダルとは「文字以外も扱えるAI」のこと。建設業の情報は文字より写真・音声・図面です。

入力するもの建設業での使い道本日のデモで体験
🎤 音声現場を歩きながら喋るだけで日報・KY記録が完成するAI日報
📷 書類の写真元請け指定の様式を撮ると、AIが項目を読み取ってフォーム化AI日報
📷 見積書の写真紙の過去見積を撮ると単価表に変換されるAI見積書
📷 現場写真工種の自動判定、電子黒板の自動合成、不安全行動の検知
📐 図面数量の拾い出し補助、変更箇所の差分検出—(難易度高)
▶ LIVE DEMO 02 元請けの紙の様式を、写真1枚でアプリにする 7分
操作の流れ
  1. 「⚙️ 現場・様式」タブ →「📷 様式を写真で取込」
  2. 元請け指定の日報様式(紙・Excelのスクショ可)を撮影
  3. 「🔍 AIで項目を読み取る」→ 抽出された項目を確認して登録
  4. 「📝 日報を書く」に戻り、音声でその様式を埋める
ここを見てください
  • 押印欄・承認欄が自動で除外されること(記入項目ではないと判断している)
  • 「作業日」が「日付」に正規化されること
  • 登録した瞬間から音声がその様式の項目に振り分けられること
  • 現場が変われば様式を切り替えるだけでよいこと
使い分けの原則。 考えさせたい・相談したい → 対話型AI。 現物を読ませたい → マルチモーダル。 複数工程を任せたい → エージェント。 毎回同じ処理を確実に → 内製アプリ(第8章で詳述)。
07

各種AIサービス比較(2026年度版)

「結局どれを使えばいいのか」への回答です。先に結論を申し上げると、唯一の勝者はありません。用途で使い分けるのが2026年の最適解です。

7-1. 主要3サービス比較

Q06挙手

今お使いのAIサービスはどれですか? ChatGPT / Gemini / Claude / まだ使っていない

 Claude(Anthropic)ChatGPT(OpenAI)Gemini(Google)
得意長文の読解・論理的な思考・コード生成汎用性・エコシステム・画像生成Google Workspace統合・低コスト
個人向け
目安料金
Pro:月 $20 前後Plus:月 $20 前後AI Pro:月 ¥2,900 前後
通貨ドル建て(為替変動あり)一部ドル建て/Proは円建て円建て
無料版あり(本日のワークで使用)ありあり
建設業での
おすすめ用途
ミニアプリ制作・仕様書・長い書類の読み込み・壁打ちアイデア出し・画像生成・幅広い雑務Gmail/Sheets/Driveと連動した日常業務

※ 料金・機能は変動が激しい領域です(2026年8月時点の目安)。契約前に必ず各社公式の料金ページをご確認ください。

7-2. 目的特化のサービスも押さえる

📚

NotebookLM(Google)

手持ちのPDF・書類をアップロードして「話しかける」。社内規程・仕様書・過去の是正記録を読ませて質問する用途に最適。無料で使えます。

🔍

Perplexity

AI検索。最新のWeb情報を参照し、情報源URLを提示するのでファクトチェックしやすい。法改正・補助金・資材相場の調査向き。

🏗️

建設特化SaaS

写真管理・電子黒板・工程共有など。汎用AIで代替せず、素直に専用サービスを使うべき領域もあります(例:小黒板の電子化基準対応)。

7-3. 選び方の原則

「どれが一番賢いか」を比較しても意味がありません。 どのサービスも数ヶ月で入れ替わります。判断基準は次の3つで十分です。
すでに使っている道具に繋がるか(GWSならGemini)/ ② 作りたいものに向いているか(アプリ制作ならClaude)/ ③ 社員が毎日開くか(開かないツールは0円でも無駄)
PART IV

何を、どう作るか

ここからは実装の話です。何をAIに任せ、何を仕組みにするのか。その判断基準と、必要になる土台、そして完成形を順に見ていきます。

08

AIに直接やらせる仕事、AIで作ったアプリでやる仕事

本日の技術的な核心です。同じ「AI活用」でも、この2つはまったく別物。混同すると必ず失敗します。

8-1. 決定的な違いは「確実性」

観点💬 AIに直接やらせる(対話)🛠️ AIで作ったアプリでやる(DX)
向く仕事一度きり・毎回内容が違う・答えに幅がある毎回同じ手順・件数が多い・記録が必要
確実性ゆらぐ。同じ質問でも毎回少し違う答え常に同じ結果。計算は1円もずれない
不確実性への強さ強い。想定外の相談にも対応できる⚠ 弱い。作り込んだ処理しかできない
連続処理⚠ 苦手。1件ずつ人が貼り付ける必要がある得意。100件でも1,000件でも同じ速度
記録・集計⚠ 残らない。チャットは流れて消える✅ データベースに残り、後から集計できる
属人性⚠ 使う人の腕(プロンプト力)に依存✅ 誰がボタンを押しても同じ
コスト構造使うたびに人の時間がかかる作るのは一度きり。以降ほぼ無料で使い放題
Q07頭の中で1つ思い浮かべてください

御社でいちばん時間を取られている事務作業を1つ思い浮かべてください。次のフローに当てはめます。

8-2. 判断フロー

その仕事は「毎回同じ手順」か?

NO(毎回違う・相談ごと)→ AIに直接やらせる。YES → 次へ。

件数は多いか/記録を残す必要があるか?

NO(月1回・記録不要)→ 対話でも十分。YES → 次へ。

金額計算や法定書類など、間違えてはいけないか?

YES → 必ずアプリ化。AIに毎回計算させてはいけません。

最適解:ハイブリッド(本日のデモアプリの形)

ゆらいでよい部分だけAI、絶対にずれてはいけない部分はアプリ。

8-3. ハイブリッドの実例 — 本日のデモアプリ

処理担当理由
話し言葉 → 報告書の文章🤖 AI表現に幅があってよい。人が直せる
元請け様式の項目に振り分け🤖 AI言い回しの揺れを吸収する必要がある
過去見積から単価を読み取る🤖 AI書式がバラバラで、ルール化できない
金額の計算・消費税・粗利率⚙️ アプリ(プログラム)1円もずれてはいけない。AIには絶対にやらせない
データの保存・一覧・集計⚙️ アプリ(プログラム)確実に残り、後から検索できる必要がある
▶ LIVE DEMO 03 AIが読み取り、アプリが計算する — 役割分担の実物 8分
操作の流れ
  1. 「💹 単価マスタ」タブに、過去のExcel見積を貼り付ける
  2. 「🔍 AIで単価を読み取る」→ 単価表ができる(=AIの担当)
  3. 「📝 見積作成」で数量を入力 → 粗利が即座に動く(=アプリの担当)
  4. 「🔀 AIで名寄せ候補を探す」で表記ゆれの統合を見せる
ここを見てください
  • 小計・消費税・合計の行をAIが自動で除外していること
  • 金額計算はAIではなくプログラムが行うので1円もずれないこと
  • 同じ項目の低・均・高が出て、価格の根拠を持てること
  • 「クロス張り替え」と「クロス張替」が同じものとして統合されること
AIに計算をさせない。AIに記録を任せない。
AIは「揺れてよいところ」に使う。 これを守るだけで、AI導入の失敗の大半は防げます。
09

そもそもWebアプリとは

午後のワークで実際にアプリを作ります。その前に、最低限の地図だけ共有します。コードが読める必要はありません。

9-1. アプリは「3つの部品」でできている

① フロントエンド
見える画面
ボタン・入力欄・表示
② バックエンド
裏で動く仕組み
計算・判定・処理
③ データベース
情報を溜める箱
記録・保管・検索

フロントエンドは、さらに3種類のコードでできています(建物のたとえ)

コード役割建物でいうとデモアプリの例
HTML骨格・構造柱と壁入力フォーム・ボタンの配置
CSSデザイン・見た目壁紙と塗装色・レイアウト・スマホ対応
JavaScript動き・計算電気・設備金額の計算・保存ボタンの動作
本日のワークで作るのは、この3つが1つのファイルに入った小さなアプリです。データベースは使わず、画面と計算だけ。それでも十分に実務で役立ちます。

9-2. システムの育て方 5ステップ

業務システムは、いきなり大きく作らず、小さく始めて段階的に育てるのが基本です。

スプレッドシートで管理する

在庫表・顧客リスト・日報を手入力し、関数で集計。画面・処理・データが1枚に同居している状態。

数式で自動化を始める

QUERYIMPORTRANGE を使えば、プログラミングなしで複数ファイル横断の集計ができる。

裏で小さい命令を動かす(GASデビュー)

GAS=スプレッドシートに「裏で動く小さな命令」を足せる機能。例:毎朝9時に在庫表をメール送信。画面はそのまま、裏側だけ強くなる。

Googleフォームと連携する

画面はフォームに任せ、データはシートに溜まる。中小企業の業務システムの多くは、ここで十分。

自分専用のWebアプリを作る 📍本日のワークはここ

画面も自分で作る。AIに書かせるから書ける。本日のデモアプリ(AI日報・AI見積書)もこの段階です。

※ 全部を覚える必要はありません。「今やっていることが地図のどこか」が分かれば十分です。

▶ LIVE DEMO 06 話すだけで概算のたたき台 — 「段階5」のアプリの姿 5分
操作の流れ
  1. 「🧮 概算積算」で🎤ボタンを押し、工事概要をざっくり話す(例:3LDK内装リフォーム、床フローリング25㎡…)
  2. 「✨ AIで概算明細を作る」→ マスタ単価優先で明細ドラフトが出る
  3. 「🔎 拾い漏れチェック」→ AIが不足項目を提案 → ワンタップで採用
  4. 「📷 写真から寸法」で基準物(A4/ペットボトル等)を写した壁の写真を投入 → 寸法推定を確認
  5. 「📝 見積書へ変換」でA-2見積書の下書きに送る
ここを見てください
  • 数量根拠(qtyBasis)と前提(assumptions)が明示される=ブラックボックスにしない設計
  • マスタ登録済みの項目は実績単価が強制採用される(fromMasterバッジ)= AIに単価を作らせない
  • 写真推定は信頼度と根拠を出して編集可能にしている=「AIが撮って測る」ではなく「AI推定+人が確定」のハイブリッド
  • ここまでの全機能が Google スプレッドシート+AIだけで動く=§9-2の「段階5」の実物
10

AIとDXの関係性

「AIを入れる」と「DXをする」は別物です。順番を間違えると、AIは本来の1割の力も出せません。

10-1. よくある誤解:AI導入=DX

❌ うまくいかない順番

  • 紙とFAXのまま、AIツールだけ契約する
  • AIに読ませるデータが社内にない
  • 結局「文章を書かせる」だけで終わる
  • 「AIって大したことないね」で終了

⭕ 効果が出る順番

  • まず業務データが電子で1か所に集まる状態を作る(=DX基盤)
  • その上でAIに読ませる・書かせる
  • さらにその上でアプリを内製する
  • データが増えるほどAIが賢くなる好循環
AIは「燃料」ではなく「エンジン」。
燃料(データ)がなければ、どんなに高性能でも動きません。
Q08挙手

御社の見積書と日報のデータは、今どこにありますか?
① 紙 ② 担当者の個人PC ③ 社内の共有フォルダ ④ クラウド(Google/Microsoft)

10-2. なぜ Google Workspace(GWS)なのか

中小企業のDX基盤として最も現実的なのがGWSです。理由は「すでに使っている」「安い」「AIが標準搭載」「そのままDBになる」の4点。

プラン月額(1人)特徴Gemini AI
Business Starter¥680〜30GB ストレージ✅ 標準搭載
Business Standard ⭐推奨¥1,360〜2TB ストレージ・会議録画✅ 標準搭載
Business Plus¥2,040〜5TB・高度な監査ログ✅ 標準搭載

2025年1月より、Business 全プランに Gemini AI が追加料金なしで標準搭載されています(金額は目安。最新は公式をご確認ください)。

10-3. GWSが建設業のDX基盤として効く理由

📱

現場から使える

スマホで写真も日報も入力できる。事務所に戻る必要がない。

🗄️

Sheetsがそのままデータベース

専用DBを買わなくても、スプレッドシートが業務システムの保存先になる(本日のデモアプリもこの構成)。

🔐

情報漏洩リスクの管理

社員が個人アカウントのAIに業務情報を入れる状態を、会社管理下に移せる。

🛠️

IT部門が不要

専任担当がいなくても運用できる。中小企業の現実に合う。

本日のデモアプリの正体。 このあとご覧いただく「AI日報」「AI見積書」は、Googleスプレッドシートをデータベースとして動いています。 つまり、GWSさえ整っていれば、追加のサーバー費用ほぼゼロで業務システムが持てるということです。
▶ LIVE DEMO 04 このアプリのデータベースは、ただのスプレッドシート 4分
操作の流れ
  1. 見積を1件保存する
  2. 画面を切り替えて、保存先の Google スプレッドシートを開く
  3. たった今保存した行が増えていることを見せる
ここを見てください
  • 専用のデータベースを1つも買っていないこと
  • サーバー費用が月額0円であること(GWSの範囲内)
  • いざとなればスプレッドシート側で直接手直しできる安心感
  • = DX基盤(GWS)さえあれば業務システムが持てるということ
11

AIによるDX内製化の威力

従来、業務システムは「買う」か「発注する」ものでした。AIによって「自分たちで作る」が現実的な選択肢になりました。

11-1. 発注する場合と、内製する場合

 外部に発注するAIで内製する
初期費用数十万〜数百万円ほぼゼロ(AI利用料のみ)
期間2〜6ヶ月数時間〜数日
仕様変更都度、追加見積・追加費用その場で直せる
現場の声の反映要件定義の時点で固定。ズレても直せない使いながら毎日直せる
ランニング保守費が毎月発生することが多いGWS費用の範囲内(実質追加ゼロ)
弱点⚠ 属人化・セキュリティ・無管理化のリスク
内製の落とし穴。 「作った人しか分からない」「秘密情報をコードに直書きしてしまう」「誰も管理していないアプリが増殖する」。 作る前に、①置き場所 ②秘密情報の扱い ③誰が管理するか の3点だけは決めてください。

11-2. 本日のデモアプリ(実際に動きます)

いずれも今日ご覧いただく実物です。スマホでそのままお試しいただけます。

DEMO 01
⛑️

AI日報

現場を歩きながら喋るだけで、日報が完成します。

  • 元請け指定の様式を写真で取り込み、その項目に自動で振り分け
  • 現場が変われば様式も切り替え可能
  • そのままA4で印刷・スプレッドシートに蓄積
音声 × 写真 × 生成AI
DEMO 02
📋

AI見積書

過去のExcel見積を放り込むだけで、単価マスタができます。

  • 表記ゆれをAIが名寄せ(「クロス張り替え」=「クロス張替」)
  • 同一項目の最小・平均・最大単価を見ながら価格調整
  • 左=提示価格/右=NET原価の対比、粗利を自動計算
  • 委託工事は金額を空欄で登録し、協力業者の見積原本をDriveに紐付け
AI取込 × 確実な計算 のハイブリッド
デモアプリ集: https://construction-ai-seminar.pages.dev/
※ セミナー用のデモ環境です。実データは入力しないでください。
▶ LIVE DEMO 05 2つのアプリを通しで — 内製システムの完成形 15分
操作の流れ
  1. ハブページから「⛑️ AI日報」を開き、様式取込〜印刷まで通す
  2. 「📋 AI見積書」でセット展開 → 数量入力 → 粗利確認
  3. 委託行の「📎添付」で協力業者の見積PDFを添付 → 「📎原本」で開く
  4. 「🖨️ 御見積書を印刷」でお客様提出用(原価非表示)を見せる
ここを見てください
  • この規模のシステムが数日で・追加費用ほぼゼロで作れること
  • 現場の要望をその場で反映できること(発注では数ヶ月かかる)
  • お客様に出す書類には原価が出ない設計になっていること
  • 協力業者の見積原本が見積番号ごとにDriveへ整理されること

本日のデモアプリは全部で5本あります

アプリできること施工管理アプリでいうと
⛑️ AI日報音声→元請け様式の日報。様式は写真で取込日報・帳票機能
📋 AI見積書過去見積→単価マスタ、名寄せ・粗利・委託原本のDrive連携見積・原価管理機能
🧮 概算積算アシスト話すだけで概算のたたき台。写真からの数量推定(プレビュー)も積算支援機能
📅 工程表ジェネレーター工程会議の議事録から並行作業込みのガントチャートを自動生成工程管理機能
💰 案件管理・入金見える化請求→入金の消込、遅延アラート、AI資金繰りコメント原価・請求管理機能
これは「施工管理アプリの自作カスタム版」です。 お気づきの通り、この5本は ANDPAD などの市販施工管理アプリが提供する機能群と重なります。 市販SaaSは完成度が高く多機能ですが、月額費用がかかり、機能の多くは使われず、自社の様式・商習慣には合わせにくい。 AIによる内製なら、必要な機能だけを、自社の帳票・自社の言葉に合わせて持てます。 「まず内製で始めて、規模が出たら市販SaaSを検討する」「市販SaaSの足りない部分だけ内製で補う」—— どちらの戦略も取れるようになることが、内製力の本当の価値です。
▶ LIVE DEMO 07 会議の議事録から、工程表が完成する — AIエージェントの実例 6分
操作の流れ
  1. 「📅 工程表」で「▶ サンプル議事録を入れる」を押す(🎤会議音声をその場で解析することも可能)
  2. 「✨ AIで工程を組む」→ 並行作業・乾燥待ち・予備日・マイルストーンを含んだガントチャートが自動描画
  3. タスクを1つ選んで開始日/日数を編集 → 依存関係が保たれたまま即再描画
  4. 「💾 保存」→ 一覧から呼び戻して同じ内容を復元
ここを見てください
  • AIが単に文章を要約するのではなく、「工程を組む」という判断まで代行していること= 第5章で扱ったAIエージェントの姿そのもの
  • 職種別の色分け・週末網掛け・当日ハイライトなど、建設現場の見方に合わせた表現で出力されること
  • 編集で1タスク動かすと後続が自動追従する= 計算はプログラムが担っている(第8章のハイブリッド原則)
  • ANDPAD等の「工程管理機能」が、自社の職種名・自社の呼び方で持てるということ

11-3. この2つのアプリが示していること

どちらも「Googleスプレッドシート+AI」だけで動いています。サーバー代は月額ゼロ円です。 つまり、GWSが整っていて、AIの使い方を知っていれば、この規模の業務システムは自社で持てるということです。 第8章で申し上げた通り、揺れてよい部分はAI、金額計算と保存はプログラムという役割分担で作られています。

PART V

組織にどう根付かせるか

技術より難しいのがここです。どれだけ良い道具を選んでも、使う習慣がなければ何も変わりません。進め方の順番と、続ける仕掛けを扱います。

12

AI活用は、ひとりでやるか・チームでやるか

「まず自分だけで試す」か「最初から全社で」か。多くの会社がここで判断を誤ります。

👤 ひとりで進める

  • 速い。決裁も説明も不要
  • 深く使える。試行錯誤が自由
  • 属人化する。その人が辞めたら消える
  • 組織の生産性には効かない
  • 「あの人だけが特殊」で終わる

👥 チームで進める

  • ナレッジが会社に残る
  • 標準化され、業務が回る
  • 遅い。温度差が必ず出る
  • いきなり全社研修は意識の高い一部しか使わないで終わりがち
Q09隣の方と30秒

社内で今、AIを使っているのは何人ですか? そのうち経営者ご自身は入っていますか?

12-1. 現実解は「3段ロケット」

まず経営者がひとりで習慣化する(1〜2ヶ月)

毎日触る。うまくいく使い方/いかない使い方を体で覚える。ここを飛ばして号令だけかけると、必ず失敗します。

「型」を作って配る(1ヶ月)

うまくいったプロンプトを3つでいいので文章にして共有。「こう書けばこうなる」を渡す。ルール(入れてよい情報/だめな情報)もここで決める。

全社の土台(GWS)の上で回す

個人のチャット履歴ではなく、会社のデータとして蓄積される形へ。ここまで来て初めて「組織の力」になります。

よくある失敗: ①ツール選定に3ヶ月かける(その間ゼロ) ②いきなり全社研修だけやって放置 ③完璧な運用ルールができるまで使わせない。 いずれも「使う習慣」が育たないまま終わります。
13

本当の使い方を知っているのは、あなた自身

最後の講義パートです。ツール選びより、はるかに大事な話をします。

13-1. ベンダーは業務を知らない。あなたは知っている

私たちのようなIT事業者は、AIの使い方は知っています。しかし御社のどの作業が一番しんどいかは知りません。 「この転記が毎週2時間かかる」「この確認電話が一日に10回ある」— それを知っているのは、経営者と現場の皆さんだけです。

どのAIが良いか << どこで使うか <<< 使う習慣があるか この不等号を、本日いちばん持ち帰っていただきたいものとして提示します。

13-2. 習慣化のための、具体的な3つの仕掛け

HABIT 01

1日1回、必ず開く枠を作る

朝10分、AIに何か聞く時間を固定する。内容は何でも構いません。「開く」ことを習慣にするのが先で、成果はあとから付いてきます。

HABIT 02
💬

「AIに聞いた?」を口癖にする

部下から相談を受けたとき、まずこう返す。これだけで社内の初動が変わります。経営者が言い続けることに意味があります。

HABIT 03
📣

うまくいった例を3行で共有する

「何を頼んだら」「何が返って」「何分浮いたか」。立派な報告書は不要。チャットに3行流すだけで、周りが真似を始めます。

Q10書き出してみてください(30秒)

明日の朝いちばんにAIへ聞くことを、1つだけ決めてください。

13-3. 明日から着手する順番

今週:自分の「一番しんどい事務作業」を3つ書き出す

現場の作業ではなく、事務所での作業から選ぶこと。

来週:そのうち1つをAIに相談してみる

解決しなくて構いません。「AIに聞く」を体験するのが目的です。

今月中:うまくいった頼み方を1つ、文章にして社内に配る

これが第12章の「型を配る」にあたります。

3ヶ月後:アプリ化すべき業務を1つ決める

第8章の判断フロー(毎回同じ/件数が多い/間違えられない)で選定してください。

PART VI

手を動かす

最後は実践です。無料のAIを使って、自分の現場で使えるツールを実際に完成させます。

14

【ワーク】無料版Claudeでもできるミニアプリ制作

建築業編・45分。無料アカウントで構いません。コードを1行も書かずに、自分専用の計算ツールを完成させます。

14-1. 準備(5分)

Claude を開く

https://claude.ai にアクセスし、無料アカウントでログイン。スマホでも可能ですが、PCを推奨します。

メモ帳(テキストエディタ)を開いておく

Windowsなら「メモ帳」、Macなら「テキストエディット」。完成したコードを貼り付けて保存するために使います。

14-2. 作るものを選ぶ(5分)

Q11考えてみてください

御社の現場でいちばん計算が面倒なものは何ですか? 選択肢に無ければ、それを作っても構いません。

下記から1つ選んでください。「自分の現場で本当に使うもの」を選ぶのがコツです。

A
🏠

屋根材 数量チェッカー

屋根の水平投影面積と勾配から、実面積・ルーフィング必要量・野地板枚数を計算。

B
🚛

生コン数量・手配計算機

面積と厚みから打設数量(m³)を出し、生コン車の台数と余裕分を自動計算。

C
🎨

塗装面積・塗料缶数計算機

壁面積と開口部を引いて塗布面積を出し、塗布量から必要缶数を算出。

D
⛑️

KY(危険予知)チェックシート

作業種別を選ぶと該当する確認項目が出て、チェックすると記録文が生成される。

14-3. STEP 1:骨格を作らせる(10分)

いきなり全部を頼まないのが最大のコツです。まず「画面の骨組みだけ」を作らせます。下のプロンプトの【 】部分を自社の内容に書き換えて、Claudeに貼り付けてください。

あなたはWeb開発の専門家です。 【木造住宅を中心とする工務店】で使う 【生コン数量・手配計算機】を作ります。 まずHTMLの骨格だけを作ってください。CSSやJavaScriptは後で追加します。 【入力フォームに必要な項目】 - 現場名(テキスト入力) - 【打設面積(m2、数値入力)】 - 【厚み(mm、数値入力)】 - 【ロス率(%、初期値5)】 【表示したい結果】 - 【必要数量(m3)】 - 【生コン車の台数(1台4.5m3として切り上げ)】 スマートフォンで見やすいレイアウトにしてください。 コードは1つのHTMLファイルにまとめてください。

14-4. STEP 2〜4:段階的に育てる(20分)

STEP 2:見た目を整えさせる

次に、CSSで見た目を整えてください。建設業らしい落ち着いた配色で、スマホでボタンが押しやすいサイズにしてください。」と続けて頼むだけ。

STEP 3:計算ロジックを入れさせる

次に、JavaScriptで計算機能を実装してください。計算式は〇〇です。」と、式を必ず自分の言葉で指定してください(第8章のとおり、計算は絶対にずれてはいけない部分です)。

STEP 4:保存して開く

Claudeのコードをコピー → メモ帳に貼り付け → keisan.html という名前で保存 → ダブルクリック。ブラウザで自分のアプリが開きます。

STEP 5:自分仕様にカスタマイズ(時間があれば)

「入力欄をもう1つ増やして」「結果を印刷できるようにして」「会社名を入れて」など、思いついたことをそのまま頼んでください。

14-5. うまくいかないときの3原則

📋

エラーはそのまま貼る

画面に出た赤い文字やエラーメッセージをコピーして貼り付け、「このエラーが出ました。修正してください」と送るだけで直ります。

🔍

「動かない」ではなく「何が起きたか」

「ボタンを押しても数字が出ません」のように症状を具体的に書く。第3章の「想いを渡す」と同じ原理です。

↩️

戻れることを知っておく

おかしくなったら「ひとつ前のコードに戻してください」と頼めばOK。壊れても失うものはありません。

コードは読めなくて構いません。本日の目的は「AIを使って、実際に動くものを自分で作れた」という体験です。この感覚が、社内でAI活用を進める最大の武器になります。

14-6. 発表(5分)

お一人30秒で、①何を作ったか ②どこで使うか ③作ってみた感想 を共有してください。

本日のまとめ

テーマ持ち帰っていただきたいこと
AIの本質知識 × 想い = 知恵。想いを渡さないAIは、ただの一般論しか返さない
建設業とAIAIは現場を奪わない。書類作業を奪って、現場に戻す道具
エージェント「答えるAI」から「動くAI」へ。ただし土台は対話力(プロンプト)
AIとDXAIはエンジン、データは燃料。GWSでまず燃料を用意する
進め方経営者がひとりで習慣化 → 型を配る → 全社の土台で回す
使い分け揺れてよい所はAI、金額計算と記録はアプリ。混ぜない
いちばん大事どのAIが良いかより、使う習慣が社内にあるか
AIは、あなたの想いを増幅する装置です。
増幅すべき想いを持っているのは、経営者であるあなたです。

出典・参考

本日ご覧いただいたデモアプリは、こちらからいつでも触っていただけます。

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